モチーフサーキットをやって、感じたこと。
それをたくさんの方に伝えられればと思って、今ブログ第2弾を書いています。
私のような未熟な人間が思ったことなんて、取るに足らないことかもしれませんが、それでもたくさんの方にご協力いただき、たくさんの方が手を足を動かしていただいた結果、私の今やっていることは、どういうことなのか。というのを書かずにはいられませんでした。
今年最後のモチーフサーキットが終わり、私はブログも書かず、ただただ自分の気持ちの流れというのをできるだけ冷静に見るように努力していました。
「このイベントは成功といえましょう。やったやった!わーいわーい!たくさんの人に出会うって楽しいなぁ!」で済ましたらいけないし、これからも続いていくプロジェクトなので。
今年のモチーフサーキット実はもうこれで限界だなと感じていました。こういったイベントはたくさんの方との出会いがあり、どれもこれもほんとに心に残る大事な思い出ですが、次の段階にいかないと体力的にも気力的にも全然間に合わないというギリギリの状況でもありました。
やっぱりイベントは体力を使います。たくさんの人にも協力していただかないといけないし。うんと素敵なことにはそのぶんしんどいこともたくさんあって、もちろんそのしんどい分、素敵なことがうんと素敵なことになります。ものすごくありふれた言葉やけど、本当にそうだなぁとしみじみ思います。
まだまだ興奮は冷めてないのですが、これを読んでくださった方に少しでも、私たちがこの2ヶ月間でやってきたことを伝えられればと思います。
以下、私の当日のスピーチからの引用が多いのですが、このプロジェクトで私が教わったこと、そして感じたことを書きます。
もうすでにご存知の方もたくさんいらっしゃるかと思いますが、このプロジェクトはカナダのトロントにお住まいの新田さんという方がはじめられました。
みんなでモチーフを編んで、それを繋いでブランケットにし、販売します。そして販売した売上の全額をあしなが育英会に寄付するというものです。
1枚のモチーフを編むのには時間がかかります。震災の報道が少なくなってしまっても編んでいる時間は日本のことを考えようというのが、このプロジェクトの主旨です。震災の報道を受けて、自分のスキルでなにかできないかと悩んでいる私に新田さんが、こんなことをしてますよとメールを下さったのが、4月のはじめ、そして、それを私のブログでご紹介したときに、日本でもやりたいとたくさんの反応がありました。さんざん悩みましたが、やろうと決めたのが4月の中旬あたり。
やるには毛糸が必要だなと思って、勇気を出して、私のお世話になっている糸やさん3社(
アトリエトワインさん・
シルクハセガワさん・
AVRILさん)にご相談し、そしたらみなさま2つ返事で次の週には20キロほどの糸が私のもとにやってきました。損得ではなく気持ちだけでこれだけ動いてくださる方がいるんだということに感動し、これは本当にちゃんとやらないといけない。それで今このプロジェクトの要となってくれている
ルイスさんに相談し、どうせやるならできるだけたくさんの方に知っていただこうと、
TJWK関西のHPをオープンしてくれたのが5月3日です。モチーフもそのときぐらいに、初めて愛知県から届きました。
それからです。ほんとにさまざまな場所から素敵なモチーフが毎日のように届きました。
お手紙もたくさんいただきました。
私は名前も覚えるのも苦手で、もの忘れも激しいのですが、(これは友達や生徒さんがよう知ったはると思います。汗)今、私の部屋にあるたくさんのいただいたモチーフを見たら、大体どこからやってきたかがわかります。何千枚とあるので、全部はちょっと難しいですけど…。ブランケットのコーディネートをしながら、これは北海道の方が編んでくれたものやとか、東京の方やとか、はたまたこちらは徳島で、それでこれは確か…広島!といった具合です。これには自分でもびっくりしました。明らかに私の記憶力がよいせいではありません。
モチーフが心を傾けてもらった証拠だからです。思いがあるからです。送っていただいた方はお会いしたことのない方がほとんどですが、やっぱり地方のニュースを見ると、あの方は大丈夫かなとか、思います。きっと私の住む京都でなにか起こった場合も、どこかで誰かが私のことを気にかけてくださるのだろうと思います。
これってすごい繋がりだなぁと思いました。繋がり自体は家族や友達などとは比べ物にならない弱い繋がりやけど、こんな気持ちがたくさんの人に広がって、みんながみんな心を傾けあえば、なにも他人事ではなくなってくる。これは理想論かもしれません。ですが、弱いつながりと思うものがいろんなものをつないでいく力が強いということを、関西大学社会学部教授の与謝野先生が最後のモチーフサーキットでお話してくださってます。詳細は
ルイスさんのブログの記事で)
震災の残した爪あとはとても大きくて、原発の問題も大きく関わってきています。風評被害など傷つく必要のない人が傷ついたりすることがこれからたくさん起こってくるでしょう。あらゆる問題において、外野にいる人たちは自分の正義をふりかざしたり、大きな顔で君はまちがっていると好き勝手に言う。でも当事者でしかわからないことだってなんぼでもある。
いろんな立場から見ていくと「これが絶対に正しい」といえることって少ないかもしれない。でもいろんな立場で考えるということで、自分の立ち位置がわかり、自分がなにを考えているのかもわかる。そしてその「いろんな立場」というのは、世代や性別が違ったり、環境や住むところが違うほうがいいということ。
それを実際にかたちにできたのが、モチーフサーキットだと私は思っています。といっても今だからそう言えるというかんじですね…
当初、みんなでモチーフを編む会を設けよう!と思ったのは、やっぱりどうしてもネットだけの話にしたくないなというのが目的で、ネット以外でもっとこのプロジェクトが広まればいいなぁ。これをきっかけにニットをしてくれる方が増えればなぁとか。それぐらいの気持ちでした。でも、いざやってみると、ほんとにこんな光景今まであったかな、というぐらいの衝撃でした。
うん、今まで見てきた、行ってきたニットのイベントや教室とは全然違う。ほんとに世代も性別も違う方が同じ場所でニットをやってるっていう光景は生まれて初めてです。(もうやりませんが、炎天下ニットも含め…笑)
私は今までほとんどコミュニティーというものに属したことがなく、どちらかというと群れるのも嫌い、できれば家でひきこもって映画とか見ながらニットをやっている時間がすごく好きなタイプです。わいわいよりもできれば黙々と集中して編みたいとすら思っていたかも。
実際、モチーフサーキット中も、しーんと静かにみなさんニットをされてて、ぼそっぼそっとしか会話がない…ということもあったし、お友達同士でしか話されてない方もいらっしゃったんですけどね、これじゃあ家で編んだほうがよかったって思われてるかも。とすごく心配だったんですけど、あとあと「参加して本当によかった!」とおっしゃってくれることがほとんどでした。最初の頃は「あ、そう思ってくれてはったんや!」と正直びっくりすることも多かったです。主催側でいっぱいいっぱいで、なぜそうおっしゃってくれてるか、はっきりとわかりませんでした。それでそれなりに私のなかで考えて分析しながら、じんわりじんわりと人と人との繋がりがなにを生み出すのかに気づきました。
この集まりはコミュニティーというほど、強いつながりではないかもしれません。地域に根をはっているわけではないし、毎回どこかで会うというわけではありません。
でも、私と、私のところにモチーフを送ってくださった方との関係が、モチーフサーキットに集まられた方同士で築かれていることを実感しました。
あとあと、参加された方が、「私の隣に座られてた方は○○からきはってね〜」というように私の知らない情報を聞いたとき、「いやん、私はそんなこと聞いてないよ。」と少し悔しかったけど、逆にそれがとてもとても嬉しかったです。
このプロジェクトはこれ編んだら終わりというのがないのが特長でもあって…このブランケットつくったら終わりとか、それがないのです。やってて区切りがなく、その道のりの長さ、そしてちゃんと結果がちゃんとでるのかという不安や、難しい問題に直面したときに時々しんどくなってしまうのですが、被災地でしんどい思いをしている人のそれに比べると全然比ではありませんし、いろいろ考えたあげく「じゃあ誰のためのプロジェクトなん?」っていうことにはっとさせられます。被災地の方ががんばって少しでも前に進もうとしてらっしゃるのと同じように、私もこのプロジェクトを少しでも前に前に進めていけたらいいなと思っていますし、そう思えるのは協力していただいたみなさんの思いに支えられてるからこそです。
編むこと以外でご協力してくださった方々も多く、イベントでたくさんのかぎ針が必要でしょうとかぎ針ととじ針を提供してくださった
近畿編針さん、地域に根ざして活動をされている
北区社会福祉協議会や
ECC社会貢献センターで開催することにより、ネットをされない世代の方にもたくさん広めることできました。奈良県葛城市のマスコットキャラクター
蓮花ちゃんも大いに貢献してださってます。そして、ラジオ・新聞などのメディアにとりあげてくださったり、
なみはやノーツさんにはUST中継してもらうという、ほんと私の範疇を大いに超え、いろんなジャンルの方にご協力いただいてることも本当にありがたいことです。
このプロジェクトのために足と手を動かしてくださってる方がいる。
ニットができなくても足と頭を動かしてくださってる方がいる。
そして、これを書いている間にもルイスさんは販売にむけて営業をしてくださってたり、
funknitさんグループは、ブランケットをつくってくれてます。
ほんとにたくさんの方のご協力でこのプロジェクトは動いています。
TJWK参加者リストもこんなに増えました。
長期的に見るとまだまだはじまったばかりですが、どうかこのみなさんの気持ちが届きますように。そう思いながら、私も気持ちを引き締めて今できる限りのことをしていきたいと思っています。