私の大学の同級生みっちゃんのお誘いで念願の南三陸で編み物のワークショップをしてきました。
彼女は南三陸で被災された方の支援をするためにNPO法人「ウィメンズアイ」を仲間の方と立ち上げ、今も現地に住んで活動しています。南三陸の活性のためにほんとうにいろんな活動をされているのですが、そのひとつとして現地のおばあちゃんが集まって編み物をする会のお手伝いをしていて、講師として呼んでくれたのでした。
特定非営利活動法人ウィメンズアイのHP
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私が到着した日、ワークショップの前日は 「地方で人をつなぐ パンの魅力」 講座をされていて、すこーしだけ覗かせてもらいました。地元でパンを作ってる方と一緒に家でできること、この土地でできること、素材を考えながらみなさん真剣に意見を交換されていました。私も帰って池田さんの「パンの雑誌」を購入。めちゃくちゃおもしろいですよ。
〜パンざんまいの夜〜パンラボの代表のパンライター池田浩明さんを講師にお迎えして、まちのなか大学×WE食のしごと勉強会第4弾「地方で人をつなぐ パンの魅力」講座、さんさん館研修室で開催しました。国産小麦の美味しさを楽しむ「新麦コレクション...
特定非営利活動法人ウィメンズアイ - WEさんの投稿 2016年3月29日
編み物ワークショップ1日目は気仙沼のはしかみ交流広場、2日目は歌津平成の森という南三陸の施設で開催しました。
気仙沼のはしかみ交流広場は
NPO法人生活支援プロジェクトKさんが運営されているコミュニティスペースです。
プロジェクトKさんのブログ
プロジェクトKのさいじょうさんが毎週お題を決めて、おばあちゃんたちに編む作品を提案し、週に1回集まってみなさんで編まれているそうです。
以前、私もチャームの作品の製作と編み図づくりでご協力させていただいたので「あ、あのりんごと天使の人ね」というかんじで、数名の方が覚えててくれていたのも嬉しかったです。
この日も前回編んだという象の編みぐるみをみなさん持って来られていました。
その象のあみぐるみが…みんな鼻の位置が違う(笑)ということは顔も全然違う。「しっぽを付けてみたの」ってしっぽがついていたりと…完璧なものを編むのじゃなくってみなさんのびのびと自由に編まれていることが伝わって、それがとてもいい光景で印象的でした。作品の写真を撮ってもらうのもはにかみながらとても嬉しそうに見えました。
今回持っていった題材は少々難易度が高いものでしたが、一生懸命、わいわいと編んでくださっていました。
みっちゃんと同行してくれたウィメンズアイのSさんのお話では、震災のすぐ後はみなさんあまり顔も合わさず、言葉も交わされなかったそうです。それでも毎週足は運ぶという状態が数年続いたそうです。被害の度合いや傷は個人それぞれ違うのでそれを言うことも聞くこともなく。そして数年がたち、少しずつみなさんの表情が変わっていき、いまでは編んだものを見せ合ったりと和やかな雰囲気になっていったそうです。今回のワークショップも私が地元や愛媛などいろんな場所でやってきた雰囲気とほんとに変わりなく、みなさん手を(口も)動かすのが好きで、終始とても和やかな雰囲気でした。
きっと週に1回というペースでずーっと続けてきたからこそだって仰っていました。週に1回のワークショップ、しかもお題が毎回違う(しかもなるべく材料費は抑えないといけないし…)私が普段の仕事で年に数回にも関わらず頭を悩ませていることを毎週毎週開催するのは本当に本当に大変なことです。さいじょうさんたちの想いと行動に頭の下がる思いでそこを後にしました。
2日目の
歌津平成の森では初心者の方でもできるようながま口ポーチとポシェットのワークショップを開催しました。ここの方はワカメ漁をされている方がほとんどで、参加できるできないはワカメ次第という、ワカメ中心の生活をされているそうです。実際、「ワカメで…」と遅れて駆けつけてくれた方も多数。結局予約いただいた人数の2倍集まってとても賑わいました。あとから気づいたのですが、昨日の気仙沼に参加してくれた方も飛び入りで来てくれたのもとても嬉しかったです。編み図読めないし、と言いながらほとんどの方が完成、完成間際まで仕上げてくださってよかったです。
90歳のおばあちゃんもかわいい作品を完成されていました。
2日間とも震災については私からはほとんど触れずにいました。知りたいことはいっぱいあったのに、実際会ったら聞く気持ちにまったくなりませんでした。しょっちゅう顔を合わせているみっちゃんやSさんが「最近どう?」と聞いているのは一言も漏らすまいと聞いてしまいましたが。でもそのおばあちゃんにまったく違う質問をしたときに、「あ、震災のとき?」って仰ってて、ああきっといろんな人からしょっちゅう質問をされてこられたんだと思いました。
TJWKの活動のことも紹介する機会もつくっていただきました。みなさん真剣に聞いてくださっていて、気仙沼ではみなさんでモチーフを編んでくださるそうです。震災遺児の支援ですというと、「あ、あの子がそだ。」と口ぐちに仰っていたのがとても印象に残りました。
そのあと、南三陸一帯を運転させてもらう機会があり、普段テレビをほとんど見ない私でも知っている有名な
防災対策庁舎、
さんさん商店街をいったりきたりしました。被災した場所がまだはっきりわかりました。ですが、今年はたくさんの方が仮設住宅から公営住宅などに引っ越されるそうです。そうなるとまた環境が変わるので、また新しい問題が起きるかもしれないなぁとどなたか漏らしていました。
現地の人と一緒にみっちゃんたちのように現地で頑張っている人の息遣いに少しでも触れられて本当によかったです。おかげでたくさんの現地の方と会ってお話させていただくことができました。とにかく会う人会う人がとてもあたたかい人たちばかりで、行ってみて初めて感じることもたくさんありました。でも本当のことはちょっと滞在したぐらいでは全然わからないから、あくまでこの2日間の見聞きしたこと、私の周りの好きな人たちに伝えたいことを書いているつもりです。
ということで、たくさんのお土産、ワカメ(はしかみにふらっと寄られていたおじさんに大量にもらいました。)を抱えて南三陸をあとにしました。
また行きたい気持ち、これが、あれができるんじゃないかという気持ちはさておき、ただただ、編み物をしてくれたおばあちゃんたちが今後も楽しく編み物をしてくれればいいなと思いました。
*オマケ
ここからは番外。南三陸で育てられている羊に会いに行きました。
ここの羊さんたちはワカメを食べているそうです。
おもに食用(サフォーク)メインからはじまったのが、毛を刈って作品にしようという動きもあって、コリデールも増やされているそうです。オーナーさんの愛情たっぷりの牧場でした。
帰ってワカメ祭り。ワカメサラダ、ワカメご飯、ワカメともやしあんと、南三陸の笹かま。言わずもがな、いつも食べている乾燥ワカメとはまったく別物。おいしくいただきました。